提示された情報を受けると、
人間はその情報を基準(アンカー)として
判断を下すようになる。
これがアンカリング効果の意味になります。
もう少しわかりやすいように説明すると、
人間の判断基準は相手に情報を提示されるだけで
大きく変わってしまうということです。
アンカリング効果の語源
アンカリング効果は、船の錨(アンカー)が語源であると言われています。
まず錨を海底におろして、その範囲で動く船をなぞらえて、アンカリング効果と命名されたようです。
アンカリング効果の例
リアルショッピングやネットショッピングを含め、
販売価格の他に「参考価格とか「希望小売価格」
という情報が含まれていませんか?
例えばアマゾンのサイトを見てもらえばわかりますが、
定価の価格が表示されていて、そこから「◯◯%オトク!」
みたいなことが書いてあって値引きしてあるのが普通です。
この商品の場合は定価の59%オフらしいから、
かなり割引率が高いみたいですね。
で、この中に含まれている123,224円という文字が、
先ほどいった基準、「アンカー」です。
定価なんて別に僕達には関係のない話なのに、
定価を123,224円だと考えると49,980円まで販売価格が
落ちていることがとても魅力的に感じるのですね。
僕たちは本来自分に何も影響をおよぼすはずの無い数値に、
「安い!」と思い込まされていたのです。
結局これはアンカリング効果により
アンカーという基準をずらされてしまったためで、
お得感を演出しているというわけですね。
どんな店のマーケティングでも当たり前のように
使われているテクニックですので、
これは今すぐ実践していきたい方法です。
アンカリング効果を価格に利用する例
・通常価格との比較
・他社価格との比較
・メーカー小売希望価格との比較
アンカリング効果のやり過ぎに注意
アンカリング効果を活用した価格表示は自由自在に使って良いわけではありませんので、注意が必要です。
二重価格表示に注意
ある大手ネットショッピングモールに対して消費者庁から指導が入りました。通常価格の表示を通常に販売していた価格よりも不当に引き上げ、アンカリング効果を使って販売価格を安く見せていました。
このようなアンカリング効果を使った価格表示は二重価格表示と呼ばれ、景品表示法に反しています。
アンカリング効果を活用し、通常価格を高くみせかけて売る手法が合法であるためには、同じ店舗で少なくとも通常価格で販売した実績が一定期間必要となります。
過去の販売価格(通常価格)との比較の場合には、セール開始時点から過去8週間のうち、4週間以上の販売実績が必要のようです。8週間に見たない場合には、販売期間の過半かつ二週間の販売実績が必要だそうです。
アンカリング効果を狙って二重価格表示にならないために
二重価格表示の詳細は、消費者庁のホームページでご確認ください。二重価格表示の基本的な考え方や、二重表示価格の具体例の情報があります。(リンク)消費者庁「二重価格表示」
アンカリング効果を活用する場合には、二重表示とならないよう十分に注意しましょう。
妥協効果と回避性とアンカリング効果
妥協効果と呼ばれる回避性とアンカリング効果を組み合わせた手法がある。
妥協効果とは極端な高低の価格帯を避け、
無難な中間の価格帯を選びやすいという心理効果のこと。
例えばAという商品が20,000円、Bという商品が10,000円だった場合。
当然、顧客の選択枝は双方に分散する。
そこに更に上の商品S:30,000円という
高品質・高価格の商品を用意することによって、
Sの商品が高価格帯の基準になり、
AとBの商品に割安感が出て注目されるようになる。
その際に安い商品を選んで失敗したくないという心理により、
「妥協効果」が働いて一番安いBの商品が選択から除外される。
結果として、中間の価格帯となったAの商品が選ばれやすくなる。
このように非常に高価格な商品を「ブラフ」として設定することで、
もともとは高価格である商品を無難な選択肢だと思わせることができる。
この手法は使用前の品質判断が難しい製品等に
店ごとに価格設定が違う商品やサービスで、
利益率の最も高くなる選択肢に集中させる為に活用されることがある。
アンカリング効果の活用
アンカリング効果は、心理効果の一種であり、最初に提示した価格や情報が消費者の購買判断の基準に大きな影響を及ぼす傾向をさします。
アンカリング効果はマーケティングや営業現場でよく活用されていますが、特に価格表示の場合は二重価格にならないように十分注意しましょう。